薄い蛍光の海を 泳いでた
足元だけ 床が遅れてく
知らない顔の群れが 同じ速さで
僕だけ 言葉を落としていく
胸に貼られた札が 剥がれそうで
笑う口だけ 先に動いた
「別に平気」って 口は言うのに
心のほうが 全然ついてこない
起きてるはずだし
寝ぼけてるわけじゃない
なのにまだ 夢の途中
出口のない廊下で
返事だけが 転がってる
嫌な夢なら バクにあげる
目が開いてても 夢ってことにする
飲みこんだ棘も 小さな罪も
ちゃんと丸めて 渡してやる
嫌な夢なら バクにあげる
朝になったら 何もなかった顔する
ほんとは今日のことだって
......言わないから 食べてよ
透明な箱の中で 声が反射して
「急いで」だけが やけに響いた
拍手みたいなノイズに 混ざりながら
僕の影だけ 薄く伸びてく
指先はずっと 何か探して
見つけたフリで 空を握った
うまく笑えたぶんだけ
目の奥が 乾いていく
......別に泣いてないし
これは夢だって
言い張れば 軽くなる
現実だって
認めたら たぶん折れる
だから 今だけ
こっちにして
嫌な夢なら バクにあげる
現実の角は 夢の霧で隠す
刺さった言葉も 噛んだ舌も
眠気のせいに してやる
嫌な夢なら バクにあげる
起きたら普通に 歩いてやるから
今だけ 夢のふり
......ほら、食べて
逃げてるんじゃない
戻るための 回り道
明日の僕が 息できるように
ちょっとだけ ズルするだけ
嫌な夢なら バクにあげる
目覚めたフリして 夢を続けてやる
今日の重さを ひと口ぶん
減らしてくれたら それでいい
嫌な夢なら バクにあげる
「夢だった」って 言えるうちは
まだ僕は 壊れてない
......たぶん、ね