のれんをくぐる 雨のにおい
ネオンの端で 影がほどける
赤ちょうちん ゆれる灯り
今日の失敗が やっと黙る
グラスの水滴 指でなぞって
言い訳だけが うまくなる
笑ってる声 遠いテレビ
現実って こういう音
「おつかれ」って
それだけで 少し救われて
言えないことほど
氷みたいに 溶けていく
赤ちょうちんの灯りに 心がほどける
強がりのピン留め 外れて落ちる
大丈夫って言葉は まだ下手だけど
この夜が 少しだけ味方する
唐揚げの匂い 湯豆腐の白
くだらない話 ちゃんとあったかい
終電の時間 気にしてるくせに
帰りたくない顔 してるんだろ
隣の席の 恋の愚痴
知らない誰かの 人生の波
ここは小さな 避難所で
みんな同じ 顔をしてる
「もう一杯?」
って聞かれて うなずくふり
ほんとは 今日の自分を
置いていきたいだけ
赤ちょうちんの灯りに 心がほどける
言えなかった本音が 泡みたいに浮く
泣くほどじゃない でも刺さってた
そんな日を 飲み込める場所
外は静かで 寒いのに
この中だけ 季節がゆるい
明日のことは 明日の俺に
投げとけばいい たぶんさ
赤ちょうちんの灯りが 背中を押す
「また来いよ」って 言われた気がした
強くならなくていい 弱くてもいい
この夜が ちゃんと続いてる
赤ちょうちんの灯りに 心がほどける
帰り道の風も 少しだけ優しい